商品開発研究のシナリオ検証にスポットコンサルを活用

NUMBER
58
CATEGORY
新商品開発 

サマリー

課題:「マーケットのニーズに応える付加価値を備えた商品を創る」というミッションのもと、市場調査などをベースに描いたシナリオの確度を上げるために、多角的かつリアルな意見を収集する良い方法を探していた。

成果:
・開発に着手する前の段階で外部の情報を収集することで、シナリオの検証ができた。
・外部の生の声に触れることで、検証に要する時間が短縮でき、ターゲットの変更が必要になった場合でも早期に判断ができるようになった。
・外部の情報を取りに行く姿勢が組織的に高まってきている。

事業内容を教えてください。

AGC 旭硝子は 1907 年創業以来、ガラス・電子・化学品・セラミックスなどの分野で技術とノウハウを蓄積し、現在も幅広い産業界へソリューションを提供しています。

当社の研究開発部門は、革新的なコアテクノロジーの創出に挑むとともに先端の共通基盤技術による商品開発支援を担う「先端技術研究所」、新商品の創出と既存商品の技術的な課題解決を推進する「商品開発研究所」、プロセス技術・設備技術の開発・改善などを担当する「生産技術部」で構成されています。特に「商品開発研究所」では、マーケット起点の発想で、マーケットニーズに応える付加価値を備えた商品の創出を使命として開発にあたり、商品・事業の具体化を進めています。

ビザスクのご利用のきっかけを教えてください。

数年前の研究所は、事業部から降りてくるテーマや課題に対して実現する技術を研究・開発する、という取り組みが多い状況でした。しかし、2015年を境に、当時の研究所長の「将来のAGCは研究所が切り拓いていく」という強いメッセージのもと、研究所から自主的に研究・開発テーマを設定して事業部に提案する動きに変化しました。これに伴い、研究員がマーケット視点を持って事業シナリオを構築することを強化するようになりました。

とはいえ、「まず自分たちの技術を突き詰めて、その後に市場性を見極める」といった自前主義で技術の芸術品を作るような仕事の進め方をずっとしてきた一部の研究員にとっては、自己変革するのは難しい面もあります。新しいテーマ提案に向けた情報収集も、学会や展示会への参加、インターネットや文献の検索、といった誰でも入手可能な情報の収集になりがちでした。私自身も2014年まで研究員をしていましたが、当時周りを見渡しても「外部に生の情報を取りに行く」という経験をしている研究員はあまりおらず、そういう発想自体もありませんでした。

商品開発研究所の使命である「マーケットニーズに応える商品」を創るために描いたシナリオの確度を上げる良い方法はないかと探していた時に、新事業の立ち上げを担う部門の知り合いからビザスクを紹介されました。そちらの部門では新規事業領域の調査や新技術活用の課題抽出のためにスポットコンサルを実施し「有用だった」と聞いたので、上長に研究所での導入を提案しました。上長は日頃から外に出て情報を収集することを奨励していたので、提案を快諾してくれました。

ただ、サービスを導入しても利用されなければ意味がないので、当事者である研究員にサービスの有用性を伝えて反応を確かめようと思い、導入前にビザスクに説明会を開催してもらいました。研究所の中で特に新テーマの提案をミッションとしている部署に声掛けし、その部署のメンバーを中心として30名程が参加しました。「技術が先、市場性の検証は技術を確立してから」というスタイルをとっていた研究員も、スポットコンサルのような外部の知見を聞く方法があることを知り、「商品開発のためには市場から考えるやり方をしなければ」と考えに変化が生じたようでした。生の情報を収集する必要性を感じていなかったわけではなく、必要性は理解しているけどやり方が分からなかった、というのが正直なところで、方法があることを示したら「まずスポットコンサルを使って市場の声を聞いてみよう」というスタンスに変わっていきました。

スポットコンサルを利用するフェーズや目的などを教えてください

2016年12月から導入し、週1~2件のペースで利用しています。開発に着手する前のシナリオ検証を目的とした利用が多いです。研究員が考えたシナリオの確からしさを検証するほか、狙うターゲットを明確にするために業界知見のある方やエンドユーザーとなる方と面談しています。当社の事業はBtoBですが、エンドメーカーに提案するにあたってのエンドユーザーのニーズを把握しておく必要があります。「一般消費者が何を欲しているのか?」というよりも「一般消費者に訴え掛けるために、Bto “B”のクライアント企業が何を考えているのか」、「世の中に出る最終商品にはどのような機能が求められるのか」、「最終商品のカテゴリーの成長性、素材、形態はどのように変わっていくか」といったあたりをいずれの案件でもお伺いしています。

実際にご活用されて成果をどう認識されていますか

アドバイザーとの面談を通じて、開発に着手する前の段階で外部の情報を収集することの大切さを改めて実感しています。既存事業と関わりのない領域では、情報を取りたくてもチャネルがありませんので、ビザスクのアドバイザーのデーターベースやネットワークはとても有効と思います。面談で外部の生の声に触れることで、検証に要する時間が短縮でき、仮にシナリオが崩れた場合でも早期に方針変更が出来るようになりました。これまでは、「技術を高めていった後に市場に問うてみたら、想定したような需要がなかった」ということもよくありました。早期の段階でニーズ検証することで、人財や時間などのリソースの無駄もなくなってきています。

また、ビザスクを利用する研究員が増えてきた中で、実は「ビザスクのような外部知見を活用するツールを欲していた」ということが見て取れました。「ビザスクを使ったらいい情報が得られた」というクチコミから、別の研究員も利用するサイクルが出てきて、外部の情報を取りに行く姿勢が組織的に高まってきていると感じています。社風として真面目な研究員が多いため、これまでは開発初期であっても80点位までシナリオの完成度を上げないと外に話を聞きに行くことに抵抗を感じ、ヒアリング自体の準備に時間が掛かっていましたが、最近では開発着手前でもフットワーク軽く外部に情報を取りに行き、仮説検証のサイクルを早く回していこうというスタンスが少しずつ浸透してきました。

マーケット情報を取りに行くようになったことで、お客様を意識するようになった点も大きな成果と感じています。お客様に選んでいただくためには、お客様の要求に応えるだけではなく、こちらからお客様に提案ができることが重要となります。「AGCなら何とかしてくれる」とお客様に言っていただけるような信頼関係を築き、お客様が何かをやりたいと思った時に最初に声がかかる存在であり続ける、という使命感が研究員の中にも強く意識されるようになってきました。

研究員の方がビザスクを利用する環境を整備するために、どのような取り組みをしていますか?

サービス導入から8ヶ月ほど経った頃に、2回目の説明会を開催しました。この頃には利用件数もだいぶ増えてきたのですが、導入前の説明会に参加した部署に利用者が偏っていたので、改めて商品開発研究所の全部署の研究員に対してサービスを周知する場を設けました。この時はビザスクの説明と合せて実際に利用した研究員から事例紹介をしたので、有用性をリアルに実感できる場になったと思います。経験者から「こう使ってこんな情報が得られた。リピート利用している。」という話を聞くと自分も使ってみたくなりますよね。

今後は、面談の場をもっと活用するためにも、伺いたいことを明確にするための考え方や質問の仕方などのナレッジも共有していきたいです。効果的な質問の仕方を共有していくと、抵抗を感じている人でも積極的に外部の情報収集ツールとして活用できるのではないかと考えています。

ビザスクを活用するメリットはどのような点にありますか

ビザスクに案件を相談してから、アドバイザーのリストを提供いただけるスピードが非常に速いので、ハイペースで情報収集を進められるようになっています。1番速かったときは、ビザスクに相談して3日後には面談できた案件もありました。

「『特定の業界』の『ある経験』の知見をお持ちのアドバイザー」とピンポイントで経歴を指定することもありますが、案件によっては聞きたいことは明確なものの、どなたに聞いていいか分からないということもあります。そのような時は、ビザスクのプロジェクトマネージャーがアドバイザーの経験の幅や選択肢を提示してくれます。そのおかげで、聞きたい情報を持っている方に出会える確率は高いと感じています。また、登録アドバイザーの質の高さにも驚きました。痒いところに手が届くバックグラウンドをお持ちのアドバイザーに出会えるので、中途半端なヒアリングにならないのは良いと思います。

今後、ビザスクをどのように利用していくお考えですか?

ビザスクを利用した研究員の満足度は高く、クチコミで広がってきていますが、利用数はもっと増えて良いと思っています。やはり、餅は餅屋と言うように業界・業務の経験者に聞いた方が具体的かつ確度の高い情報が得られるので、スポットコンサルをもっと上手に活用していきたいです。

今は自分たちが考えたシナリオの精度を高める場面でスポットコンサルを利用していますが、シナリオを作る前の段階で利用することもできると思っています。また、研究員は自分の見つけた開発テーマに時間をかけて向き合っていくと「いつかは来る」「まだ性能を伸ばせる」と延命させてなんとか形にしたいという気持ちが働くものですが、組織として成果を出していくためには、取り組む開発テーマの優先順位をつけてどこかのタイミングでやめる判断をすることも必要です。その業界のスペシャリストから市場の先端情報を聞くことで、客観的かつ冷静に自社の立ち位置を見直すことができれば、良い意味での諦めもつくでしょう。一定期間取り組んで見通しの立たない開発テーマの終了を判断する際にも、スポットコンサルを活用できるのではないかと考えています。今後はスポットコンサル以外にも業界ニーズ調査やエキスパートサーベイといった調査系のサービスも利用してみたいです。