“飛び地”の新規事業でビザスクを活用。事業創出スピードをアップ

NUMBER
6
CATEGORY
マーケティング モノづくり 市場調査 新規事業 業界調査 製品レビュー 

創業以来、セルロース化学、有機合成化学などの化学技術をベースに、躍進を続ける株式会社ダイセル。「世界に誇れる『ベストソリューション』実現企業」をブランドビジョンに掲げ、化学工業の枠を超えて事業領域を拡大しています。今回は、新規事業の企画・創出を推進する研究開発本部 研究推進部 テクノロジースカウティンググループ 主席部員 伊藤氏にビザスクの利用事例についてお話をお伺いしました。

サマリー

  • 課題:コア事業から離れた領域での新規事業での創出期のハードルを乗り越えるための情報や知見をよりスピーディに獲得する
  • 案件テーマ:新規事業創出時の業界調査、市場調査、製品調査、製造プロセスレビュー
  • 効果:業界地図や許認可などの事業を進める前提を受け、事業計画を進めることができた。モノづくりのプロセスでのアドバイスで、品質向上に向けた取り組みが前進した。

ダイセルの事業内容について教えてください。

 当社は、1919年にセルロイド会社8社が合併して設立されました。セルロイドを出発点に、現在では、セルロース事業、有機化合事業、合成樹脂事業、火工品事業、メンブレン事業を展開しています。コア事業のさらなる成長に加えて、新規事業創出は中期経営計画の戦略の1つとなっています。

ビザスクは、どのように活用されていますか?

事業部横断の研究開発部門と事業部の課題で、10以上の案件で利用しています。社内のビザスク担当として私が情報を集約していますが、アドバイザーとの面談は各担当が直接行っています。これまでの依頼内容は、新規事業の企画フェーズにおける業界調査、市場調査、関連製品調査や製品レビューなどです。いくつかの案件を進めながら、当社なりのビザスク活用方法を見つけてきたという状況です。

ビザスクの「スポットコンサル」を初めて知ったときの印象を教えてください。

 とある異業種交流会のメンバーで、熱心にオープンイノベーションに取り組んでいる方から、ビザスクを紹介していただきました。部署が新設されたばかりで、テクノロジースカウティングの在り方を模索していた時期です。テクノロジースカウティングというと、展示会視察や海外リサーチが一般的ですが、自分なりに新しい取組みを生み出したいと考えていました。そのような状況だったこともあり、実務経験や知見の豊富な社外のビジネスパーソンにクローズドで相談できるビザスクの「スポットコンサル」は、テクノロジースカウティングと相性が良いのではないか、とピンときましたね。

また、私の父親は、ある特殊なフィールドのエンジニアだったのですが、定年退職後に、Q&Aサイトで名前も知らない若いエンジニアからの質問に一生懸命答えていました。父の技術知識は40年ほど前に最新だったのもので、現在では教科書にも載っていませんし、技術継承もされていません。しかし、そのような知見も日本に何人かは、必要としている人がいるのですね。感謝の言葉をはりあいに、真剣に回答している父を見て、課題を解決したい人と経験や知見を有する人のマッチングが存在することは知っていました。ですから、ビザスクの可能性も直観的に理解できたのだと思います。

導入はどのように進められたのでしょうか?

 社内でビザスクの利用の企画を立て、関係者に案件出しを依頼しました。グループ内や事業部のメンバーに「スポットコンサルというサービスがあるのだが、使ってみないか?」という声掛けからのスタートでしたね。当社は化学工業の分野では、独自の生産方式に代表されるように、確固たる技術と事業拡張の方法論を有しています。また、モノづくりを強みとする会社としてのブランドも築いてきましたので、装置メーカーや世界中の大学や研究者とのリレーションも当然あります。

しかし、新規事業ということになると、業界構造や各プレイヤーの強みは何か、研究の第一人者はどなたなのか、といった点でより確かな情報がほしいと感じることが以前からありました。業界調査や市場調査は、ビザスクの有効性も確認しやすいだろうと考え、トライアルとして土地勘のない新規事業に関連のテーマを3つ選定しました。そして、ビザスクのコンシェルジュに案件概要を伝え、アドバイザーのサーチを依頼しました。また、新規事業のトピックスは、経営戦略上も重要な非常に機密性の高い情報ですので、正式な契約前にNDA(秘密保持契約)も締結を進めていきました。

マーケット調査以外で、ビザスクを利用された案件はありますか?

ある加工製品の製造プロセスについて、5回にわたってアドバイザーに現場に出向いていただき、アドバイスを受けた案件があります。社内でもビザスクの評判が広がり、認知されてきた頃に、事業部から持ち込まれた案件で「製品の品質を上げたいが、ビザスクでモノづくりのアドバイスは受けられるのか?」という問合せがきっかけでした。

加工製品の成否は、装置の使いこなしと素材技術だと言われています。どのような条件で運転すれば、何を作ることができるかについては、メーカーからの情報や論文でも知ることができます。しかし、品質保証という観点で精度を上げていこうとすると、その装置の使いこなしには、10年単位の時間を要します。そこで、その装置を長年使ってこられた経験のある方だからこその「目のつけ所」を教えていただければ、時間が短縮できるのではないかと考えたのです。それまでのビザスクへの依頼は、マーケティング領域でしたが、モノづくりのテーマについても「ダメもとで依頼してみよう」ということになりました。

アドバイザーがニーズにマッチしているか、判断できましたか?

 正直、「そのままずばり」の人がいるだろうか…と思っていたのですが、アドバイザーのプロフィールを拝見して「すごい方がいるね」という話になりました。現場経験を確認して、当社の有していない経験をお持ちの方だということはわかりましたね。そこで、まずは、当社のトップクラスのメンバーとの面談をお願いしました。

5回のスポットコンサルはどのように進められたのでしょうか?

初回に関しては、直接面談するメンバーと予め相談して、これまでのご経験から問題の解決法をお伺いするのではなく、考え方やアプローチをお伺いすることを目的としました。具体的には「助けてくれそうな、すがれそうな方か判断してほしい」と伝えました。初回の面談は1時間ほどでしたが、短時間でも気づいていなかった観点を指摘いただき、アドバイザーとすっかり盛り上がったようですね。やはり、現場を見ていただくのが1番ということで、次のステップに進めてみようという話になりました。

2回目以降は、アドバイザーを現場にお招きして、ノウハウや知識を教えていただくのではなく、モノづくりの経験を通じて体得された勘所から、装置の活用法についてレビューいただきました。レビューを受けて、今までは注目していなかった項目をチェックするようになるきっかけにもなりました。結果的に当社メンバーだけでは立てられなかった実験計画を立案でき、計画も具体的に進行しています。

モノづくりの現場でのスポットコンサルの成果を、どう認識されていますか?

モノ作りは、当社の競争力そのものです。しかし、当社でその領域のNo.1の担当者も、必要なことの95%は分かっていても、残り5%が埋められないということもあります。その「今、必要な5%」を補ってくださる方にめぐり会えたのは、ありがたいですよね。

また、ご経験を積んだ方とお話すると、「95%は大丈夫だと思っていたものの、実は80%程度かもしれない」といった気づきをいただくこともあります。アドバイザーのお人柄もあるとは思いますが、モノづくりの現場でも、ビザスクを活用できるというのは新たな発見でした。

アドバイザーとの面談の際に、気を付けていることはありますか?

アドバイザーとの面談を効果的な場にするポイントは、「何がわからなくて、困っているか」を明確にすることだと思います。オープンイノベーションの考え方の通り、Give&TakeでまずはGiveしなければ、知りたいことを知ることは難しいですよね。可能な範囲でより多くの情報をお伝えすることは心がけています。

NDAを結んでいても、担当メンバーは、「ここまでお伝えして大丈夫か」と心配になることもあるようです。ですので、当社では、メンバーが作成した案件依頼文を私が確認し、お伝えする情報のさじ加減をコントロールしています。依頼文をきちんと書くことで、何が課題なのかが分かってきますので、ビザスクに概要や要件を丁寧に伝えるようにもしています。一方で、アドバイザーが決まったら、担当者には「まずは、気軽に聞いてみる」というスタンスで臨んでもらうようにしています。

今後、ビザスクをどのように利用していくお考えですか?

 既に強みを確立できている事業においては、自社内のリソースやこれまでの活動範囲内で対応できますが、新規事業のスタート期は、ビザスクを利用して、社外の知見も上手に取り入れていきたいですね。課題によっては、専門的な調査会社に依頼することもあるとは思いますが、新規事業の企画や研究開発の新しいオプションとして、ビザスクを日常業務のサイクルの中に組み入れていきたいです。

これまでは、企画部署やマネージャー経験のあるメンバーが、アドバイザーと面談していますが、技術系メンバーに直接面談に参加してもらう機会も増やしていきたいです。どのような面談の進め方が効果的か、どのように役立ったのかなどのナレッジや事例も社内でもっと共有していきたいと考えています。

ビザスクの導入メリットが大きいのはどのような企業だと思われますか?

新規事業に取組んでいる企業であれば、正直「使いよう」で、活用シーンは様々ではないでしょうか。特に、既存コア事業の周辺ではなく、飛び地と呼べるような全く新しい領域での事業展開を検討している場合は、効果を実感しやすいかもしれません。また、素材メーカーなどBtoBビジネスを展開している企業で、「お客様のお客様」のニーズや最新トレンド、評判を知りたいという場合もメリットが多いでしょうね。必ずしも最新の情報ではなくても、二次情報よりは一次情報を入手したいということは、よくあるのではないでしょうか。

また、間接部門の拡充がこれからというステージであれば、業務改善などのオペレーションに関するテーマでも活用できるかもしれません。